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城彰二さんとの経営者インタビュー第8弾

 

これからが真の太陽光発電の幕開け

ウィンフィールドジャパンの戦略は電力の〝地産地消〟

 

城彰二(以下 城) 久しぶりに越谷の埼玉支社に伺ってみたら、会社のフロアは広がっているし、社員の数もだいぶ増えていてびっくりしました。いや、すごいですね。

勝田健一(以下 勝田) ありがとうございます。おかげさまで太陽光発電事業のマーケットは盛況です。昨年もお話させてもらったんですけど、FIT制度(固定価格買取制度)が終了した後の方が盛り上がっているんですよ。簡単に言うと、国が脱炭素社会の実現に向けた再生エネルギーへの取り組みを始める際、初期段階では参入障壁をかなり低く設定して様子見をしていたんですね。それで投資目的の海のものとも山のものともわからない人たちが群がるように入ってきたんですが、FIT制度終了によって参入者がふるいにかけられて、残って頑張っている会社に本来のビジネスチャンスが訪れている。弊社は地域にフォーカスした独自の〝地産地消路線〟を掲げ、地域貢献を第一に打ち出している点が評価されて順調に業績を伸ばしています。

 

 

電気代高騰を解決する〝太陽光の0円導入〟

 

 

 最近の電気代高騰についてはどうお考えですか? この間、オール電化住宅に住んでいる北海道のある企業の社長さんと話したら、冬場の電気料金が「月5万円から18万円に跳ね上がった」と頭を抱えていたんですよ。

勝田 北海道の冬は厳しいですから電気を使わないわけにはいきませんものね。それにしても3倍というのはすごい!

 オール電化住宅を販売している側の会社の方も「電気代がここまで高くなってしまうとまったく需要がない」と困り果てています。いよいよ、個人も自分で電力を賄えないとやっていけない時代になったということでしょうか?

勝田 ええ、世の中のトレンドの一つであることは間違いないです。ちょっと調べてみたんですが、新興住宅地の100平米ぐらいの中古住宅で太陽光発電設備が設置されている家とそうでない家では大体1,000万円弱ぐらい価格が違うんですね。

 それだけ太陽光の必要性や価値が認識されているということですね。でも、まだ屋根に載っていない住宅はどのように対策をすればいいんでしょう? あらたに設備を付けるにはコストもかかりますよね?

勝田 それがいちばんの問題ですので、弊社ではできる限りお客さんに負担をかけない仕組みを考えてます。

 といいますと?

勝田 〝0(ゼロ)円導入〟です。太陽光発電設備をサブスクみたいな感覚で家に設置できるようににする。定額で発電した電気を買っていただいて、10年とか15年とか、一定期間が過ぎたらその設備がお客さんのものになる仕組みです。

 なるほど。結局、皆さん、導入したいと思ってもなかなか踏み切れないのは初期費用の問題ですから、その仕組みのメリットは大きいですね。

勝田 はい。自宅の屋根上で発電して自宅で消費するわけですから、本当の意味で地産地消の電気といえます。従来、電気料金というのは地域の電力会社が火力発電所、原子力発電所などで作った電気を送配電線を介して託送した分のコストがかかっていて、他にも再エネの賦課金とかいろんな費用が上乗せされていたわけです。そういったコストも電気の地産地消が実現すれば全部省くことができるんですよ。

 

 

海外は蓄電池ブームに沸いている

 

 昨年の対談でソーラー発電した電気の蓄電の話を伺いましたが、家庭用の蓄電池というのはまだ高価なんですか?

勝田 まだまだ高いですね。なので僕は現時点においては太陽光発電設備があればいいかなと思ってます。当面、夜間に必要な分の電力に関してはEV(電気自動車)に溜め込んでおいてそれを使うという方法も選択できますからね。

 EVにしても蓄電池にしても需要が増えれば生産量が上がってコストも下がってきますよね。その辺の見通しはどうなんですか?

勝田 今、UK、カナダ、USオーストラリアは蓄電池ブームなんですよ。日本は再エネもそうですけど、つねにヨーロッパやアメリカの様子を窺っていて、それぞれの国の成功例をじっくり分析し、それに改良を加えた2番煎じをしようとしているのでどうしても遅れてしまうんです。じゃあ他の国で何が起きてるかというと、家庭用ではなく機関用の大型の蓄電池が開発されて風力や太陽光発電に取り込まれている。再生可能エネルギーには電力を使う時間帯など、なかなか需要と供給がマッチしないという弱点がありますが、機関用の蓄電池なら大量の電気を溜めておいてコンピュータで制御しながら個人よりも広いエリアで使えるようになるんです。多分、この波はあと3年ぐらいで日本にも絶対来ますから、弊社はいつでもその波に乗れるよう準備をすでに進めています。

 ヨーイドンでスタートダッシュするつもりですね。勝田社長は相変わらず対応が速い!

 

 

どんなに大きな組織になってもファミリーであり続けたい

 

 何年も前からこうして取材させていただいてますが、僕はいつも勝田社長がしっかりと到達点を見極めた上で仕事をされていることに感銘を受けてます。目の前のビジネスチャンスをものにするだけじゃなくて、つねに先々のことを見据えながら順序立てて事業を進めている。僕はずっとその過程を見てきましたので、今、これまで積み上げてきたことが一気に花開きそうな予感を強く感じているんですよ。きっと社員の皆さんもそれを感じているんじゃないですか。

勝田 すべて社員の皆さんのおかげです。社内にはさまざまな分野のプロフェッショナルが揃っているので僕は安心して自分のやるべき仕事に集中できてますし、アドバイザーにも恵まれてつねにアップデートされた最新の情報を得られる環境が出来上がっていますから、それにまた社員が感化されてやる気をアップしてくれるという理想的なサイクルができています。

 事業も次のステージに突入して、いよいよ勝田社長が目指す到達点が見え始めたという感じですね。となると、それに見合った組織作りも急務になりますね。

勝田 はい。当然そうなんですが、僕はいつも社員の皆さんに「ファミリーであり続けたい。大きくなっても分社化して変わらずに皆さんと共にやり続けたい」と言ってるんです。日本の企業って何から何までトップに集中してしまうケースが多いんですけど、僕はそれを目指していません。稼いだら稼いだ分を皆さんに還元するつもりです。

 しかし、この先、社員が100人、500人、1,000人と増えていくと、そういう社長の考え方をいかに全社的に浸透させていくかがポイントになってきますね。グループは大きくなればなるほど意思疎通が難しくなりますから。

勝田 そのあたりの問題解決のため、弊社は社内のボードメンバーによる社員教育のフェーズに入っています。だから当面、気をつけなければならないのは、僕の考えていることをいかに正確にボードメンバーに伝えられるかですね。彼らとはできる限り行動を共にする機会を作ったり、ミーティングをしたりしているのですが、まだ僕自身に落とし込めてない部分もあって、正直、難しいところもあります。

 組織っていうのは一筋縄ではいきませんからね。普段、社員の方たちとどんなふうにコミュニケーションをとられているんですか?

勝田 実は会社には週1か週2ぐらいしか来られないんです。どうしても出先での案件に時間を取られてしまうもので。いずれにせよ、僕の役割はつねに外に出てオープンさせることとチェックアウトすることだと思ってますから会社にいない状態が当たり前になっています。その分、出社したときは、できるだけいろんな方に「大丈夫?」「どうなってんの?」って声をかけたり部署ごとのランチ会に出席したりして意見を聞くようにしてたんですが、この前、ついに社員全員で決起大会をやったんですよ。「おーっ!」って(笑)。

 いいですね、士気が上がったでしょう(笑)。

勝田 はい、さらにいい雰囲気になりました。

 

 

 

人材確保と地域還元の両立を目指す新たな試み

 

 ところで、勝田社長は今後どうやって優秀な人材を確保していこうとお考えなんですか?

勝田 いい人材って何処かからヘッドハントしなきゃ集まらないみたいな風潮がありますが、僕はこの埼玉支社のある越谷にも人材がいっぱいいると思ってます。越谷市は人口34万人。こんなに人がいるわけですから、単純にまだ出会ってないだけかもしれないんですよ。もっとその出会いを大切にしていけばけっこうなんとかなるんじゃないかと本気で考えてます。それに地元採用は地域貢献にもつながります。他にも、昨年、『留学サポートキャンペーン』(WFJエネルギー総合研究所のある千葉市を中心に、学生の海外留学を支援し、様々な知識、経験を積み地元に還元していただくことを目的としたキャンペーン。途中から全国へ対象が拡大)を行っており、これから選ばれた方々が海外へ旅立って行きます。

 へえ〜っ、それは素晴らしい! 円安や海外の物価高もあって留学は本当にお金がかかりますものね。でも、そういう支援を行うことによって御社にはどういったメリットがあるんですか?

勝田 僕たちのやれることなんてまだまだ微々たるものですけど、彼らへの支援を通して弊社のブランディングを浸透させつつ海外に新たな繋がりを作れればいいなと。僕自身、海外留学の際、現地で知り合えた人たちから多くのものを得られましたから。それともう一つ、海外にそれぞれ夢を持って留学したはずの人たちの大半が、1年、2年と経っていざ就活の時期になるとほとんど金融関係に行ってしまうという現状を打破したいという思いもあります。このお決まりの流れを崩さないと、いつまで経ってもアグレッシブで前向きな企業文化は育ちません。なんとか風穴を開けたいんですよ。なので地域の若者をこれからも可能な限り応援したいと考えてます。

 キャンペーンにはどんな方が応募されてきたんですか?

勝田 本当にいろんな夢を持ってる方がいらして「私はポーカーのプロフェッショナルとしてラスベガスで生きるんだ」という人もいれば、元々スポーツ選手を目指していたんだけど怪我で断念して、それでスポーツ選手の怪我を治す仕事をしたいと熱く語ってくれた人もいました。そのジャンルが確立されている欧米に行って技術を学んで来たいと。

 社長は広く世界を見てきた方ですから、いろんな人の考え方や感性を取り入れるのが本当にうまいですね。物事をいろんな角度から見ることができる。

勝田 すみません。僕、それしか取り柄がないんで(笑)

 いやいや、それは勝田社長ならではのすごい武器ですよ。

 

 

情報の取捨選択が成否の鍵

 

 お話を伺っていて、勝田社長とはじめてお会いしたときのことを思い出しました。「城さん、僕はここまで行きますよ!」と目をキラキラ輝かせて仰っていたんですが、その目標値をすでに超えようとしています。社長のそういった先見性や迅速な行動力の源はどこにあるんですか?

勝田 僕はアメリカにも行ってましたし、アジアでの仕事も結構長かったので比較的海外情勢に詳しいといえるかもしれません。そこで得た情報の中でいいものは積極的に取り入れる。それが僕の基本的なスタンスです。太陽光発電に関してはあらゆる面で海外の方が先行しているケースが多いので、向こうの情報にフォーカスして日本にフィードバックし、さらにそれをズームアウトしたときに本質が見えてくる。それが判断基準になってます。

 なるほど。具体的にはどんなことに気づかれたんでしょうか?

勝田 FIT制度が終わって8割から9割ぐらいの太陽光事業者が、儲かったからもういいやと撤退していったわけですが、でも、先ほども話した通り、実際、他の国では次の波が来てたんですよ。そういう情報を日本政府も知らないはずはないわけで、そのあたりの裏付けを取ってみると、やはり思った通りだったんです。僕はそういう本質的な情報収集と検証を繰り返しながら仕事を進めてきたんですよ。

 いかに正しい情報を得て判断を下すかということですね。

勝田 今は情報が多すぎる時代じゃないですか。逆説になりますが、ひょっとするとあえて雑多な情報を入れず、これだという信頼できる情報を選択したもの勝ちかもしれないと僕は思ってます。その上で、誰にどんなことを言われてもいいから、腰を据えて自分の信じることをやった方がいいと。

 儲けるだけ儲けてさっさと撤退して次の事業に取り掛かるというのもひとつのやり方ですが、御社は創業以来、地域貢献という理念がまったくぶれていない。逆にそれが追い風になってきている。面白いですね。

 

 

今後の展開

 

 では最後に、直近の目標について話せる範囲でけっこうですので教えていただけますか?

勝田 今年はメガソーラーも伸ばしていくつもりですが、まずは住宅用の太陽光。もう一つは産業用の屋根上の太陽光。系統に接続して送配電線を介して遠隔地にある大口の需要家さんに電気を送る。また太陽光発電を設置した屋根の近場で需要があればそこにもすぐ電気を送れるような仕掛けも作っていきます。この3体制の他に、ベースとしてソーラーのメンテナンス会社も作りました。関東だけで3,000箇所以上、全国に2万から3万箇所ぐらいある中規模の太陽光発電施設のメンテナンスを行います。あるとき、これをブラッシュアップして発電量を10%〜15%増やしてバリューアップするという仕掛けをやった会社はまだないことに気がついて、これ行こうぜと、まだ誰もやっていないビジネスを立ち上げたんです。この会社で大手企業のメンテナンスまで手がけるようになれば、弊社は電源開発から保守メンテナンスに至る1から10までをすべてカバーできるようになるんです。

 勝田社長はいつもエネルギッシュで変わらないですね。

勝田 いえ、最近あまり調子が出ないこともあるので、これはお腹の肉を落とさないといけないなと思ってるんですが(笑)。

 たぶんそういう問題じゃないと思いますよ(笑)。でも、本当に会社に勢いがついている大事な時期ですのでお体には気をつけてこれからも前へ前へと進んでください。

勝田 ありがとうございます! 僕は城さんをファミリーの一員だと思ってるのでめちゃくちゃ嬉しいお言葉です!

 こちらこそ、いつもお会いするたびに勝田社長からエネルギーをいただいて感謝してます。

勝田 これからも、城さんに結んでいただいたさまざまな人と人との繋がりをもっともっと広げていけるように頑張ります!

 

 

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