城彰二さんとの経営者インタビュー第9弾
―― まず、トピックとしては、ウィンフィールドジャパンの関連会社であるWINFIELD ENERGY UK LTDが、UK(イギリス)で自社初となる太陽光発電設備の建設、販売を手がけました。
勝田健一(以下勝田) 本日はそこから入りましょうか。そうなんですよ。UK(イギリス)でメガソーラーを作り、現在稼働しています。そこでの問題解決の際に面白い話があったんです。
城彰二(以下城) 興味深いですね。聞かせてください。
勝田 メガソーラーの工事のときに、日本流のやり方でUKの地元のコミュニティに入り込むことができたんです。経緯は、工事をすることで、住人とオーナー(地主)の間に確執がありました。その原因は、住人たちが使う道路が荒れていたことです。われわれは道路の補修費を寄付し「オーナーからだよ」とひと言付け加え、両者の橋渡し役をしました。すると住人、オーナーの両者から感謝をされました。今は、同じ地域で10倍の規模の案件を仕込んでいるところです。
城 日本流を感じさせるいい解決策ですね。
勝田 日本の問題解決の方法は世界に通用することがわかりました。世界だと札束で頬を張るようなやり方があるんですが、それとは真逆でしたね。UKでは、その村の婦人会にも入り込んで、お試しに無料でソーラー発電機を何台か配りました。それを使うと当社にも利益があります。このやり方だと村全体で0円発電が可能です。イギリスの電気代は日本の2倍なので、人々にとっても死活問題です。
城 勝田社長は以前からUKに事業を展開していましたが、なぜUKを選びましたか?
勝田 UKは、電力自由化が世界で一番早かったからですね。すでに電力自由化が2回行われています。現在、日本では小売を含め電力会社が700社を超えています。UKでは一時、400社を超えましたが現在は6社に統合されています。これが次に日本で起こるのではないかと考えています。
城 電力に関して、日本はUKに比べてどれくらい遅れていますか?
勝田 10年〜15年ぐらいですね。僕は危ない橋を渡れないので、UK以外にも、アメリカ、ドイツ、イタリアなどを実際に見て、電力について勉強しました。
城 埼玉オフィスが手狭になるほど、また社員が増えていますね。まだ、ウィンフィールドジャパンの社員が3人、4人だったころのことを覚えています。
勝田 今、社員は43名ほどいまして、今年の目標は社員60人です。増員しないと仕事が追いつかないです。UKでも事業が大きくなり、現地でも採用しました。
城 大きな組織だと、管理が大変になりますね。
勝田 僕は組織を作るのが得意じゃないのでみなさんに任せています。今は日本では部署が7つに分かれて適材適所で業務を行ってもらっています。にしてもらっています。あとは最高のメンバーがいるので、僕は何もしないでも大丈夫です(笑)。
城 そこも変わらないですね。昔から「みんなに仕事をやってもらっている」とおっしゃっていました。自分で管理したがる経営者が多い中、社員に助けてもらっていると言い切れるのが社長の人徳ですね。部署を振り分けるほど社員数が増えているわけですからね。
勝田 それこそ社員はローテーションをして、一人ひとりが責任感を持ってくれています。
城 勝田社長は海外出張も多いでしょうけど、社員とはどうコミュニケーションをとっているんですか?
勝田 たしかに出張は多いですね。基本的にリーダーにお任せていますが、会社に顔を出したときには話をするように意識しています。この1年は、月に2度ほど、リーダークラスを集めた会議をして、課題を吸い上げるようにしていますね。
城 組織づくりもシステムが出来ていますね。勝田社長がやっている通り、リーダーを育てないと、その下は育たないですね。今は勝田社長が管理できますが、これ以上の組織・会社になると、悩みもでてきますね。
勝田 そうなんです。次は分社化です。既にメンテナンスの会社を分社化しており、あと、1、2社は分社するでしょうね。
勝田 日本政府は、2050年までの太陽光発電の目標容量を設定していますが、まだ半分も達成できていません。その流れから、大手企業、銀行なども太陽光発電や再生可能エネルギーに取り組んでいます。パブリックアナウンスされている中では、弊社は、auリニューアブルエナジー様、マルイグループのマルイファシリティーズ様と協業し電気を作っています。それ以外にパブリックアナウンスしていない会社もたくさんあります。
城 なるほど。大手企業も自家発電を考え始めたんですね。
勝田 太陽光発電で、電気を自家消費すると世界が変わります。安い電気を自分たちで使い、足りない分はプレミアムな電気を使えばいいという考え方になります。
城 勝田社長は、今後のウィンフィールドジャパンの展開をどう考えているんですか? 長期、短期の目標や描いている未来があると思いますが、5年後、10年後はどうですか?
勝田 国内では、5年後はアセット(資産)をたくさん持っている会社になりたいですね。今、当社は太陽光発電設備を作ってそれを販売していますがどこかで限界がきます。その先はアセットが重要です。当社には太陽光発電のノウハウがあるので、他社が20年で手放してしまう発電所を買い集めて40年、50年と運用していくのもいいと思います。また、BtoB、BtoCを含めみなさんが使う電気に寄り添う会社になりたいです。お客様には、電気のことで何かあれば「ウィンフィールドに聞けば大丈夫」と言われたいですね。海外では、5年後までにはアメリカ進出をしたいです。海外進出はUKとアメリカはどちらが先でも良かったんですが、たまたまご縁があり先にUKになりました。今はマレーシアにも進出しており成長しているので、UK、マレーシアの成功をアメリカに持っていきたいです。世界展開をしていますが、社員に言ってるのは「それぞれの地域に貢献する企業でありたい」との目標です。
城 その願望も昔から口にしていましたね。
勝田 現地で一緒に目標達成できるメンバーを雇いたいと考えています。
城 その後はいよいよアメリカですね。
勝田 アメリカはマーケットの大きさが全然違うんです。そういったマーケットで更に成長したいですね。
―― ウィンフィールドジャパンは、城彰二さんがゼネラルマネージャーを務める北海道十勝スカイアースに協賛しています。そのあたりのお話もお聞かせください。
勝田 僕の中では、北海道といえば城さんです。帯広行きの飛行機の中でいつも顔が思い浮かびます。そして、十勝スカイアースさんがある、北海道にポテンシャルを感じています。北海道は日本の食卓を支える大農業地域です。でも、電気代が上がると作物の原価が上がるので、なんらかの手助けができればと思います。
城 北海道はまだ開拓されて150年ほどです。農業と酪農を中心とした土地ですが、太陽光発電やバイオマスなどを取り入れれば、もっと効率よくできると思います。
勝田 バイオマスを稼働させていくと人手が必要になります。そういうところも十勝スカイアースさんと共同で、人材育成を考えてもいいかもしれません。日本では、北海道と九州の一部だけが、大規模農業をやっています。その地域でバイオマス、太陽光発電があれば、一定量の電気を作り続け、配ることもできると思います。
城 北海道にはそんな力があるんですね。
勝田 めちゃくちゃポテンシャルを秘めていますよ。また、ドイツでやっているように再生可能エネルギーで雪を溶かすことができます。ドイツ南部の大農業地帯にはバイオマスの機械が2万基ほどあります。冬は寒いので、そのエネルギーを学校で使っていますね。
城 ドイツは気候も似ていて参考になりますね。十勝スカイアースは、地域密着型の総合型スポーツクラブです。ゆくゆくは僕たちもJFL、J3のステージに上がらなきゃいけません。そのときにはスタジアム・練習場の問題があります。ホームスタジアムを作るなら、自家発電ができることを目指したいです。
勝田 十勝スカイアースは、北海道帯広地域で既にいろんな仕掛けを持っていて、スポンサーも多く、チーム自体に資金力があると思います。チームで新しい人材も確保できるし、さらなるスポンサーも狙えるほどの将来性を持っています。だからそのスタジアムも可能性が十分にありますよ。
城 ありがたいことに、こんなクラブはほかになかなかないんですよ。ほかを見ても、スタジアムにも仕掛けをしていく時代ですね。愛媛県のFC今治では、スタジアムに田んぼを作っています。もし十勝スカイアースで、サッカーの試合中の電気をまかなえる自家発電スタジアムがあれば、ひとつのモデルになれますね。
勝田 それができればとても大きいですね。
城 十勝スカイアースは、ウィンフィールドジャパンをはじめ、スポンサーの方、地元の人に支えてもらっているクラブなので、僕も選手と一緒に上のステージを見据えて努力していきます。本日もWFJの社員のみなさんがユニフォームを着てくださって、その熱意に感謝します。
勝田 私たちも十勝スカイアースとのご縁を大切にしていきます。
―― ウィンフィールドジャパンは、地域還元のひとつとして、海外への「留学サポートキャンペーン」を行っています。これから世界で羽ばたき、戦っていく若い世代にメッセージをいただけますか?
勝田 簡単ではないと思いますが、今の僕を超えてほしいですね。自分のコンフォートゾーン(安全領域)を出て、それまでの自分を超えることによって、見える世界があります。海外に出ないと、日本社会は恵まれているということにすら気づかないので、留学が気づきのキッカケになってほしいです。ウィンフィールドジャパンは、海外に進出しましたが、真の目的は地域貢献です。留学サポートキャンペーンを最初は千葉限定でサポートしたのも地域貢献を考えたからです。今は全国に門戸を開いているので、できれば世界で学び、またそれぞれの地域に戻ってきてほしいですね。
城 私たちが若かった時代には、海外留学の目的は経験値を得ること、日本にないものを学ぶことでした。今は、留学、海外で経験値を得ながら結果を残すことを求められます。厳しいですけど、それができる人に目指してもらいたいと思いますね。
勝田 そうですね。今、世界がすごく変わってきています。日本は人口減少、GDPの後退がありますが、その中で台頭する国もあります。そんな世界の未来で、日本を支える人材は絶対に必要です。その人材の答えは日本だけではなく、海外で生活してもらい、戻ってきた人にあると思います。自分達なりに考え、新しい答えをどんどん作っていける人たちが現れて欲しいです。
城 変にプレッシャーを感じる必要はないですが、支援してもらえるチャンスを生かすことが大事です。このようにいろんな人たちの未来をサポートできるのはウィンフィールドジャパンならではだと思います。これからも、勝田社長の先を見通す力と行動力に期待しています。
勝田 こちらこそ。城さんとのつながりのおかげでどんどん人脈も広がり事業につながっています。これからもよろしくお願いします。
対談後は、十勝スカイアースのレプリカユニフォームに袖を通したWFJ社員たちと記念撮影。
ここで城彰二さんから、社員のみなさんへ恒例のひと言がありました。
今年、城さんが色紙に書いた言葉は「不言実行」です。
「勝田社長とウィンフィールドジャパンとのお付き合いは、もう7〜8年ほどになります。対談でも触れましたが、
最初は勝田社長と3人ほどの社員でスタートした会社も、今や社員は40人を超え、子会社もあるとのことで、
発展ぶりに目を見張ります。これからウィンフィールドジャパンはもっと成長していくので、
そのときにはみなさんの力が必要です。ぜひ、頑張ってください。
今年は『不言実行』と色紙に書かせてもらいました。『不言実行』とは『理屈を言うより行動しよう』ということです。
『ひとりひとりが、自分のやるべきことを考え、やるべきことをやる』
そうすれば、よりウィンフィールドジャパンがより発展していくと思います。本日は、ありがとうございました」
勝田社長と城彰二氏は、まさに不言実行のリーダーたちです。このふたりの背中を追い、ウィンフィールドジャパンはより発展していくでしょう。
夢が実現したかどうかはまた来年の対談で聞かせてもらいましょう。
最後に、レプリカユニフォームに貴重なサインをいただきました!ありがとうございました。